歴代テーマ曲の制作秘話が満載!『サウンド・オブ・007』
ファン必見!ドキュメント『サウンド・オブ・ 007』
2年前に公開された、シリーズ中の傑作のひとつ「ノー・タイム・トゥ・ダイ」から今のところ次回作の発表がない007シリーズ。ファンとしては待ちきれないという感じですがオンラインで「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の後に制作されたと思われる映画を発見しました。それが「サウンド・オブ・007」です。
この映画は、文字通り007シリーズの音楽に焦点を当てたドキュメントです。007映画の象徴ともいえるテーマ曲やサウンドトラックの制作過程、歴史、そしてその影響力について深く掘り下げ、007映画の音楽に携わった関係者や有名シンガーや俳優のインタビューで作られてます。中には関係者しか知らない逸話もあって007ファン必見の内容に仕上がってます。今のところ007シリーズの映画音楽だけにこだわった映画はこれ以外ありません。とにかく、ファンは見たほうがいいです。
内容は、1962年の「ドクター・ノオ」から始まり、最新の作品に至るまでの歴代ボンド映画の音楽を詳しく紹介しています。初代作曲家のモンティ・ノーマンが手掛けた「ジェームズ・ボンドのテーマ」は、ジョン・バリーによって編曲され、シリーズ全体のトレードマークとなりました。このドキュメントでは、そんなテーマ曲の誕生秘話や、その後の変遷についても語られています。
また、007映画の特徴は、多くの有名アーティストと作曲家によって彩られてきたということです。シャーリー・バッシーの「ゴールドフィンガー」、ポール・マッカートニーの「死ぬのは奴らだ」、アデルの「スカイフォール」など、数々の名曲が生まれています。これらの楽曲の制作過程や、アーティストたちがどのようにしてボンド映画の世界観を音楽で表現したかもこの作品では詳しく紹介されてます。
さらに、これまでの歴史を振り返るだけでなく、未来の007映画の音楽に対する期待や展望についても言及しています。新しい時代の音楽スタイルがどのようにボンド映画に取り入れられるのか、次世代のアーティストたちがどのようにしてボンドの伝統を引き継ぎ、革新していくのかにも触れています。このドキュメントは、ジェームズ・ボンド映画のファンはもちろん、映画音楽に興味があるすべての人々にとって必見の内容です。
この映画を見ることで、007映画の音楽がどれほどシリーズ全体に影響を与えてきたか、その裏側を知ることができます。これは、007映画の音楽に対する理解を深める絶好の機会と思います。
007映画の音楽の重要性とその歴史的背景
ジェームズ・ボンド映画における音楽は、単なるBGM以上の役割を果たしています。それは007映画独特の雰囲気を作り、観客の感情を引き出し、ストーリーの展開を支える重要な要素です。007映画のテーマ曲は、映画の象徴として広く認識され、シリーズ全体の一貫性を保つための重要な役割を担っています。
例えば、「ジェームズ・ボンドのテーマ」はシリーズを通じて何度も使用され、キャラクターの登場シーンやアクションシーンにおいて、緊張感や興奮を高めるために効果的に利用されています。このテーマ曲は、観客に対して「ボンドらしさ」を即座に認識させる力を持っており、映画のアイデンティティを表現しています。
007シリーズのサウンドトラックの歴史は、1962年の「ドクター・ノオ」から始まります。この作品で使われた「ジェームズ・ボンドのテーマ」は映画音楽の歴史において非常に重要な位置を占めることになりました。このテーマ曲は、ボンド映画だけでなく、スパイ映画全般の音楽スタイルに大きな影響を与えたからです 。
1960年代から70年代にかけて、ジョン・バリーはボンド映画の音楽を主に手掛け、シリーズの音楽スタイルを確立しました。彼の作曲した「ゴールドフィンガー」(1964年)は、シャーリー・バッシーの歌唱とともに、シリーズの中で最もアイコニックなテーマ曲の一つとして知られています 。バリーの音楽は、豪華でドラマチックなオーケストレーションが特徴で、ボンド映画のエレガントでスリリングな雰囲気を演出しました。
モダンボンドと音楽の進化
1990年代以降は、ボンド役者の変化と共にポップやロックの要素を取り入れた現代的なスタイルに進化しました。例えば、「ゴールデンアイ」(1995年)では、ティナ・ターナーがテーマ曲を歌い、U2のボノとジ・エッジが作曲を担当しました 。このコラボレーションにより、従来のオーケストラ音楽に現代的なアレンジが加わり、新しい世代の観客にもアピールすることができました。
21世紀に入ってからは、アデルの「スカイフォール」(2012年)やビリー・アイリッシュの「ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021年)など、トップアーティストがボンド映画のテーマ曲を担当することで、その音楽的な革新性と魅力がさらに高まったのです 。歴代の作曲家やアーティストたちが生み出したテーマ曲とサウンドトラックは、ボンド映画の独特のスタイルと雰囲気を作り上げ、観客に強烈な印象を与え続けています。さらに、映画のアイデンティティを確立し、観客の記憶に残るための強力なツールであり、007映画の魅力を支える柱の一つです。
歴代テーマ曲とその制作秘話
この作品の主な聞きどころ見どころを紹介します。
テーマ曲: 「ジェームズ・ボンドのテーマ」
作曲: モンティ・ノーマン
編曲: ジョン・バリー
制作秘話:
「ジェームズ・ボンドのテーマ」はシリーズの象徴であり、最も認識されているスパイ映画のテーマ曲です。モンティ・ノーマンが作曲し、ジョン・バリーが編曲を担当しました。ノーマンはインド旅行中に書いた「Good Sign, Bad Sign」という曲をベースにし、バリーはこれをジャズとロックの要素を融合させて編曲しました。このテーマ曲は、初めて映画『ドクター・ノオ』で使われ、その後もシリーズを通じて繰り返し使われることになりました。
テーマ曲: 「ゴールドフィンガー」
作曲: ジョン・バリー
歌唱: シャーリー・バッシー
制作秘話:
「ゴールドフィンガー」はシャーリー・バッシーのパワフルなボーカルが特徴で、テーマ曲の中でも特に印象的です。ジョン・バリーが作曲し、レスリー・ブリッカスとアンソニー・ニューリーが作詞を担当しました。レコーディング中、ジョン・バリーがもっと声を大きくとダメ出しをしたため、バッシーは上の下着を外してまで声を張り上げたという逸話が本人から語られています。この曲は、ボンド映画のテーマ曲として初めてアメリカのチャートに登場し、シリーズの音楽の一つの基礎を作りました。
テーマ曲: 「スカイフォール」
作曲: アデル、ポール・エプワース
歌唱: アデル
制作秘話:
アデルとポール・エプワースが共同で作曲したこの曲は、2012年の『007 スカイフォール』のために特別に書かれました。アデルは、妊娠中にもかかわらずスタジオに入り、感情豊かなパフォーマンスを披露しました。この曲は、ボンドシリーズのテーマ曲として初めてアカデミー賞を受賞し、その力強い歌詞とオーケストレーションが映画のテーマと完璧にマッチしました。
テーマ曲: 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」
作曲: ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコンネル
歌唱: ビリー・アイリッシュ
制作秘話:
ビリー・アイリッシュとその兄フィニアス・オコンネルが作曲したこのテーマ曲は、シリーズの中で最も若いアーティストによるものです。アイリッシュの特徴的な低音ボーカルと、フィニアスのシンプルながらもドラマチックなピアノ伴奏が特徴で、映画のダークで感情的なトーンを反映しています。リリース後すぐにチャートの上位に入り、シリーズの新しい世代にアピールしました。
まとめと感想
ボンド映画のテーマ曲は、各時代の音楽スタイルやトレンドを反映しつつも、映画シリーズの一貫したアイデンティティを保つ重要な役割を果たしてきました。それぞれの曲には、その時代の音楽シーンやアーティストの個性が反映されており、その制作過程や背景には多くの興味深いエピソードがあります。ボンド映画の音楽は、今や単なる映画音楽の枠を超え、ポップカルチャー全体に影響を与える存在となっていると言えます。
とにかく、この映画には今まで知られてない007の映画音楽作りの逸話が色々出てきます。例えば、「007ダイヤモンドは永遠に」で作詞家が歌詞に悩んだときにジョン・バリーが「ダイヤモンドを男性器と考えれば?」と答えて歌詞を披露したらプロデューサーの一人が怒って出て行ったとか、ルイ・アームストロングが歌った「愛はすべてを超えて」は彼の遺作となったとか、興味深い話が色々出てきます。
そして、作曲家ハンス・ジマーが映画の最後に語る言葉が印象に残ります。
「ボンドは人々が思う以上に我々の文化に浸透してる。60年という驚くべき年月を共にしてるからだ」。まさにその通りです。