若きマダム・ウェブ が初めて登場!スパイダーマンとの隠された重要な過去とは?

*この映画レビューは多少ネタバレを含みます。まだ未鑑賞の方はなるべく鑑賞後にご覧ください。

そもそも話ーマダム・ウェブとは?

スパイダーマンは知ってるけど、マダム・ウェブって何者?と知らない人のためにそもそも話を。

マダム・ウェブは原作コミックでは車椅子に乗る盲目の老婦人として登場します。盲目でも未来を予知する能力を持っていて、その予知能力によってピーター・パーカー、いわゆるスパイダーマンを助けるという役目で登場しています。

マーベルの登場人物の中でも最もミステリアスで謎の多いキャクターの一人。そのマダムウェブの若き頃がオリジナル・ストーリーとしてスクリーンに初登場するのが今回の映画。そして、映画のラストはのちのスパイダーマン、ピーター・パーカーとの隠された重要な過去がお披露目されるのです。

ペルーの予兆: 運命の始まり

ストーリーは1973年のペルーのアマゾンから意味深に始まります。つかみはいい。いい始まりです。ここにある研究のため訪れていた妊娠中のマダムウェブの母親の話からスタートします。その母親がトラブルに遭い命を落としてしまう。そのある研究とは蜘蛛!そう、スパイダー

そして、そこに古来より蜘蛛の力を授かった超人たちが登場します。ここは映画でも意外な場面転換で私も驚きました。彼らは”ラス・アラニャス”(=The Spiders)と呼ばれていて、母が命を落とす前に身ごもっていた赤ん坊を彼らが取り上げる。その赤ちゃんがカサンドラ・ウェブ、つまり、マダム・ウェブです。

この”ラス・アラニャス”こそスパイダーマンのルーツではないかと思われます。
彼らはその地域に生息する神秘の蜘蛛、スーパー・スパイダーの力を授かっていたのかも。

ニューヨークのカサンドラ: 予知能力の芽生え

その後話はすっ飛んで2003年!なぜ、現代ではなく2003年なのか?それはのちに登場する、スーパーヒーローのあのスパイダーマン(ピーター・パーカー)が絡んでるからです。

ニューヨークの消防局に救急救命士として勤務するカサンドラは救命活動中に誤って海に転落。九死に一生を得たキャシーは予知能力を身に付けるようになっていく。つまり、デジャブを何度も経験するのです。この時はマダムではなく、レディーのカサンドラ嬢。

この予知能力を身に付けるところは所詮ファンタジック・アドベンチャーなので多少説得力に欠けるが車のフロントガラスのヒビを蜘蛛の巣とイメージを合わせているとこなど演出にこだわっている。

大きな転機: マダム・ウェブの敵はこいつだ!

そのキャシーに大きな転機が訪れる。ここは映画のストーリー的に中間の大きな山場。列車に乗っていた彼女は不気味な男が現れ、同じ車両にいた、3人の少女たちを次々と襲うビジョン(予知)を見る。その男こそマダムウェブの敵、ヴィランのエゼキエル。実は彼は母親の死に絡んでいたのです。3人を執拗に追うエゼキエル。なんとダークなスパイダーマンとなって3人を亡き者にしようとしますがなんとか逃れます。

驚愕の事実: ヴィランとの闘い

キャシーは自分に目覚めた予知能力、突然現れたヴィランと3人の少女たち。現れた者たちが自分と運命の糸で繋がっているのかもしれない。その謎を解く鍵が母の死にあるとひらめく。

そこで自分を産んだ場所であるペルーのアマゾンへと赴く。ここで驚愕の事実が明らかになります。母の遺品からエゼキエルが母とアマゾンにいたこと。実はキャシーが難病を持って生まれて来ることを知った母親はその治療薬を見つけるためにアマゾンの奥地に生息する神秘の蜘蛛を探しに行ったのです。しかし、エゼキエルは母を裏切りその蜘蛛の力を独り占めしたというわけ。

そこでキャシーを待っていたのは“ラス・アラニャス”と呼ばれる部族の人物。ここら辺はツッコミどころ満載という感じですが・・・その人物にキャシーにはまだ力が眠っていることを告げられる。

その後キャシーと3人の少女たちはスパイダー的な能力を持つヴィランのエゼキエルの追跡を逃れながら最後の戦いへとつき進みます。
*今回ヴィラン役は「モーリタニアン 黒塗りの記憶」で主役のモーリタニア人を演じたタハール・ラヒム。
前作とは全く違うイメージで力演している。この力演、私は買います。

結末: 新たな始まり スパイダーマンとの隠された重要な過去とは?

エゼキエルとの闘いで目を傷つけたキャシーはグラスをかけた姿でラストシーンで登場します。つまり、原作と同じように盲目の女性になったと思われます。
3人の少女たちと一緒に居て、キャシーの同僚ベン・パーカーの妹であるメアリー・パーカーが無事に出産を迎えていたと告げられる。ここで産まれてきたのが後にスパイダーマンとなるピーター・パーカーというわけです。
ただ、ここではピーターという名前はセリフとしても出てきません。どうして出さないのか監督の意図がよくわかりません。

今回のマダム・ウェブはいつか公開されるスパイダーマンの次回作のビギニングという意味を持つのかもしれません。その時は今回のダコタ・ジョンソンがマダム・ウェブ役で再び出て欲しいです。
本人も続編があればぜひ同じ役でオファーを受けると発言しています。

主なキャスト

キャシー・ウェブ(マダム・ウェブ) /ダコタ・ジョンソン
「フィフティ・シェイズ」シリーズ U-NEXTで鑑賞可「ネクスト・ドリーム 二人で叶える夢」(20)U-NEXTで鑑賞可

エゼキエル・シムズ/タハール・ラヒム
「モーリタニアン 黒塗りの記憶」(21)「ナポレオン」(23)

ジュリア・コーンウォール/シドニー・スウィーニー
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)U-NEXTで鑑賞可

アダム・スコット/ベン・パーカー
「ヘル・レイザー4」(24)今年公開予定

まとめ 感想

予告では盛んにマーベル初のミステリーサスペンスと告知してますがはっきり言ってこの映画でマーベルは2番手の製作会社(in association with)という立場でメインはコロンビア映画(ソニー・ピクチャーズ)。その100周年の記念映画。なのでマーベル映画として観ると地味と感じるかもしれない。いわゆる誰でも知ってるスター級の役者は一人も出ていないし。

監督は「この映画のテーマの一つは、スーパーパワーを持つのに、超人である必要はないということです」と言うが予知能力もひとつの超人的パワー。そこらへんの庶民感覚とのズレもこの映画のとっつきにくさを表してるのかもしれない。

主役のダコタ・ジョンソンはこの役に違和感は感じないが如何せん地味。悪役に至っては脇役級の男優。これでは少なくとも日本でのヒットは厳しいかもしれない。

実際アメリカでのランキングでは初登場2位。マーベル映画にしては惨敗に近いと話題。広告費をかけた割にはヒットしていない。もっとも最近のマーベルは失敗作が多いが。
北米の有名な映画レビューサイト、ロッテントマトでも13%!(2月17日現在)という未だかってないほどの最悪のレーティング

また、マーベル映画につきもののポストクレジットシーンもないので個人的には拍子抜けしてしまいました(見ていた観客もそれを期待していたに違いない)。なので続編ができる可能性は限りなく0に近いかも。次回のスパイダーマン映画が事実上の続編かもしれない。

*ポストクレジットシーンがないことについて監督は「色々試したのですが、(本編で)全て語り尽くしたように感じました」とした上で、マダム・ウェブのビジョンがポストクレジットシーン的なものに該当するとも話しているらしい。つまり、映画の中で挿入されるスパイダーウーマンと活躍する様子が『マダム・ウェブ』のオマケ要素だということらしい。特にオーラスのスパイダーウーマンと悪人をやっつけるシーンがまさにポストクレジットシーンかも。

余談ですが、この映画、編集が上手い。非常にスマートなつなぎで場面転換がスマートです。調べたら役者もやっている美人の編集マンでスパーイダーマンシリーズはこの人がほぼやっていた。

とにかく、色々とツッコミどころ有り有りで好意的ではない批評もありますが、スパイダーマンのファンなら一度は見たほうがいいというのが私の素直な感想です。

マダム・ウェブ 追加最新情報!
 映画・com によるとダコタ・ジョンソンは同作の失敗を理由にアメコミ映画からの引退を表明したそうです。ジョンソンによれば、製作中に関係各所が口出しをしたために作品が変えられてしまったそうで、「芸術は委員会によって作られたときにうまくいかない」と説明しました。
「映画は映画監督と、その監督を取り巻くアーティストたちによって作られるべきです。数字やアルゴリズムでアートを作れるわけがありません。私は、観客はとてもスマートだと信じてきました。でも、映画会社の重役たちはそうではないと信じている。そして、観客はそうした姿勢を嗅ぎつけてしまうんです」と話しています。
そうだ!映画は現場で作られる!
私ははっきりと世の中に対してものを言うダコタ・ジョンソンが大好きになりました。できれば、気をもち直してもう1回続編に出ていただけることを心待ちにしています。

ダコタ頑張れ!

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