あのテイラー・スウィフトがヒント提供?痛快スパイアクション『アーガイル』の魅力と秘密とは
マシュー・ヴォーンが久々に放ったスパイ映画の快作!
ツッコミどころはありますが
マシュー・ヴォーン節炸裂のスパイアクションの快作。
こんなにも2転3転するストーリーの映画は最近なかなか見れないと思います。敵だと思っていたら実は味方とか、味方だと思っていたら敵だとか。身内だと思っていたらそうじゃないとか、死んだと思ったらそうじゃなかったとか、見事に観客を裏切ってくれます。
悪くいうとご都合主義ですが。良く言うとスパイ映画の魅力がいっぱい詰まったイギリス映画界伝統のスパイ映画の新機軸という感じです。
さらにこの映画には観客が知らない意外な秘密があります。その中でもエリー・コンウェイが猫のアルフィーと出かける時の猫バックはあのテイラー・スウィフトがテレビの番組で持っていた同じタイプの猫バックがヒントになっていたんです。これは驚きです。
*この後、多少ネタバレを含んだ文章になります。ご注意ください。
あらすじ 概要
スパイ小説を手がける猫好きの作家、エリー・コンウェイは人気スパイアクション小説『アーガイル』シリーズの作者だった。ある日、次回作の準備をしていたエリ—は猫のアルフィーと列車で移動中に謎の男たちに命を狙われます。その時エイデンという本物のスパイに命を救われたエリーだったが、そこから悪のスパイ組織に狙われる身となり、猫アレルギーの凄腕スパイと奇想天外な逃避行を繰り広げていきます。そして、彼女は自分の驚きの素性を知るはめに・・・
なんと真の素顔は元敏腕スパイだったのです。ある事故をきっかけに記憶を消されていたのです。
そこから思いもつかない奇想天外なストーリーへと発展して行きます。
マシュー・ヴォーン映画の魅力とは
アクションシーン
映画「アーガイル」のアクションシーンは、監督のこだわりが詰まった見どころの一つです。ここでは、その魅力をいくつかのポイントに分けてご紹介します。
1. リアルで迫力満点のアクション
この映画のアクションシーンは、CGに頼らずに実際に俳優たちが体を張って演じているそうです。そのため、動きの一つ一つにリアリティがあり、観ている者を圧倒する迫力があります。特に、アーガイルと敵組織とのバトルシーンは、手に汗握る展開が続き目が離せません。
また、列車内のキレッキレッのアクションシーンは役者とスタントマンが何ヶ月も練習を重ねたとか。ヘンリー・カヴィルとサム・ロックウェルが交互に同じアクションをやっています。撮影が大変だったということが容易に想像できます。
2. スタイリッシュな演出
また、アクションシーンは、ただ派手なだけでなく、スタイリッシュな演出も魅力の一つです。音楽と映像が絶妙にシンクロしており、まるでミュージックビデオを見ているような感覚にもなります。特に、オープニングのアクションは、まるでダンスのようで、観る者を魅了します。
3. 多彩なアクション
本作は、銃撃戦、格闘戦、カーチェイスなど、様々な種類が用意されています。そのため、飽きることなく最後まで楽しむことができます。007顔負けの大アクションで見ごたえあります。スタントマン命がけです。
特に、クライマックスのオイルタンカー内でのバトルシーンは、エリーとエイダンの見せどころとなってます。
豪華キャスト
映画「アーガイル」は、現代のハリウッドを代表する豪華キャストが集結していることでも注目されています。
監督のキャストへのこだわり
特に重要だったのはやはりキャスティングだと監督は言います。「スパイ映画に結びつかない俳優をキャスティングすることで、既視感のあるものでもとても新鮮に感じると考えました」。 そこでエリー役として白羽の矢が立ったのは、「ジュラシック・ワールド」シリーズでおなじみのブライス・ダラス・ハワード。
一方、エリーの前に現れる現実世界のスパイであるエイダン役には、エリーが小説として創造したアーガイルとは対照的に、ちっとも洗練されていないスパイだ。この役柄こそ、人々がスパイに対して持っているイメージを根底から覆すカギとなると考えた監督は、それに相応しい俳優として『スリー・ビルボード』(17)でアカデミー賞助演男優賞に輝いたサム・ロックウェルを起用しました。その他にも豪華キャストが顔を揃えました。
ヘンリー・カヴィル
主人公のアーガイルを演じるのは、「スーパーマン」シリーズなどで知られるヘンリー・カヴィル。本作では、
スパイとしての冷酷さと人間としての優しさを併せ持つキャラクターを演じています。
ブライアン・クランストン
悪のスパイ組織のボスを演じるのは「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートの経験を持つブライアン・クランストン。ハリウッド映画になくてはならない脇役俳優の重鎮です。
サミュエル・L・ジャクソン
元CIA副長官でありながら、現在は亡命生活を送るエイダンの上司役を演じるのはサミュエル・L・ジャクソン。マシュー・ヴォーン監督の「キングスマン」ほか100本以上の映画に出演してきた伝説的名優です。
スタイリッシュな映像
映画「アーガイル」は、スタイリッシュな映像も魅力の一つです。その魅力をいくつかのポイントに分けてご紹介します。
1. 鮮やかな色彩
全体的に鮮やかな色彩が使用されています。特に、冒頭のアクションシーンやパーティシーンなどでは、色彩効果によって華やかさと迫力が増しています。
2. 音楽とのシンクロ
本作では、音楽と映像が絶妙にシンクロしています。特に、アクションシーンでは、音楽に合わせてテンポよく映像が切り替わっていくため、観ている者を圧倒する迫力があります。
3. オープニングシーン
本作のオープニングは、非常にスタイリッシュで迫力あるアクションに仕上がってます。まるで映画の予告編のような作りで、007シリーズのオープニングシーンを彷彿とする映像で観客の期待を高めてくれます。
音楽
映画「アーガイル」の音楽は、ストーリーを彩る重要な要素の一つです。
1. 多彩な音楽
本作の音楽は、アクションシーン、ラブシーン、コミカルなシーンなど、様々なシーンに合わせて使い分けられています。そのため、飽きることなく最後まで楽しむことができます。
特にエンドクレジットでも流れる「Electric Energy」は出演もしているアリアナ・デボースとボーイ・ジョージが歌唱を担当。007シリーズの歌曲を彷彿するアップテンポの名曲です。
2. ビートルズの楽曲
本作には、ビートルズ“最後の新曲”『Now and Then(ナウ・アンド・ゼン)』が、劇中で合計10分ほど流れるほど大々的に起用されています。過去と現在をイメージする歌詞も含めてこの映画にぴったりはまってます。
映画「アーガイル」の秘密
なんと監督の”家族”が出演!
実は劇中には、重要なキャラクターとしてヴォーン監督の“家族”が出演しています。それはエリーの一番の友であり、彼女と一緒に冒険に繰り出すことになる猫のアルフィーです。
アルフィーは正真正銘ヴォーン監督の飼い猫です。このアルフィー、後半にエイダンたちを救う重要な役割をしています。
テイラー・スウィフトが提供したヒントとは
それは猫バック!主人公エリー・コンウェイが猫のアルフィーと出かける時の猫用のバックパックはあのテイラー・スウィフトがテレビのドキュメンタリーで持っていた同じタイプの猫バックがヒントになっていたんです。
「以前、娘たちがテイラー・スウィフトのドキュメンタリーを観ていた時に、彼女がネコ用のバックパックを背負っていたことが印象に残っていました」と監督。
そもそもアーガイルって?
アーガイルというタイトル、実はこの映画ではいろんな意味を持たせてます。
ひとつはアーガイル柄。格子模様の一種でひし形の連続で構成されており、その中心を並行した線が交差する模様でタータンチェックのルーツとも言われるそうです。早い話がこの映画のポスターのバックの柄です。
実はそのアーガイル柄がオープニングの頭で出てきます。それはグラスの模様。にくい演出ですよね。映画には
そのアーガイル柄がいろいろ出てきますので見逃さないで見てください。
監督自身は『ダイ・ハード』に登場する黒人運転手アーガイルにちなんで名付けたと言ってます。アクションと
ユーモアがアーガイル柄のように交差するという意味なんでしょうか。
さらにストーリー上もっと重要な意味が。それはアーガイル(ARGYLLE)と言うスパイの名前。本当の名前は
レーチェル・カイルだった。つまり、エリーはかっての敏腕スパイ、レーチェル・カイルだったんです。
そのRecyel ・kyleがArgylle(アーガイル)になったというセリフが出てきます。一つの言葉遊びかもしれませんがこの映画にはいろいろな意味を持つアーガイルが出てきます。よく練られた脚本だと思いました。
ラストシーン考察
実はこの映画のラストシーンはかなり深い意味を持ってます。
再び小説家として『アーガイル』の発売記念イベントに出ていたエリー・コンウェイ、出席者からの質問タイムに移ると、そこで挙手して立ち上がったのは、長髪の男性、なんと彼女の空想の世界のスパイであったはずのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)です。「逆に僕に質問があるのでは?」と。エリーは、「嘘でしょ?」といった様子で目をパチクリさせる。さらにポストクレジットシーンでは若い頃のアーガイルが出てきて映画は終わります。
いったいこの二つのシーンは何を表してるのでしょうか?現実だと思っていたことが空想で、空想と思っていたことが実は現実なんでしょうか?全くチンプンカンプンなシーンです。これはもう続編を見るしかなさそうです。
事実、ヴォーン監督は映画『アーガイル』の続編構想をすでにぶち上げています。つまり、このシリーズは今回の『アーガイル』に続いて、『アーガイル:ブック・ワン・ザ・ムービー』、そして『ARGYLLE/アーガイル2』に続くようです。
イギリス映画の十八番007シリーズの続編がいつ公開されるか全くわからない状況で、このアーガイルシリーズがそれに取って代わればスパイ映画ファンにとってはこれほど嬉しいことはありません。
とにもかくにも、早く続編が見たい!
まとめとこぼれ話
本当に目まぐるしく変わる立場逆転ストーリーとでも言えばいいか。さすが、マシュー・ヴォーン監督。楽しみながら作ってます。
監督の話によると家族とヒッチコックの「北北西に進路を取れ」を見てこの映画の製作を思いついたとか。
つまり、巻き込まれ型の名作がこの映画のヒントになっていたんです。まさにこの映画も巻き込まれ型です。
「スパイ映画の常識を覆す」というヴォーン監督の気概が感じられる、まさに力作だと思います。
私はこの映画2回見ることをお勧めします。多分、1回目は何が何だかわからない感じで終わってしまうので
2回目はじっくりストーリーやアクションが楽しめると思います。
それにしても主役のブライス・ダラス・ハワード、ちょっとムチムチな感じが気になりました。「ジュラシック・ワールド」の時よりかなりファットな感じ。聞くところによるとお産を二度経験して体質が戻らなくなったそうです。女優さんも大変です。それでもアクションシーンやってるのだから逆にすごいです。
もちろん、顔が見えないとこはスタントマンが頑張ってます。なんとその中に日本人の女性もいらっしゃいました。大島さんという女性の方。スタントマンでも日本人が活躍してるなんて嬉しいですね。心から応援したいです。
とにかく、この映画一見チャラチャラした感じに見えますが、実は奥の深い映画です。
私は個人的には3回見ても飽きない、超オススメの映画だと思います。
最新情報
華々しく公開されたヴォーン監督の最新作「アーガイル」ですが、その世界総興収が芳しくないようです。2億ドルという巨額予算の半分にも達していないようで、早い話が全くの赤!なので続編製作はメドが立たない状況だそうです。ラストは続編ありきみたいな終わり方だったのに残念。