圧巻の映像美!驚きと感動の体験ドキュメンタリー『劇場版 再会長江』
映画『劇場版 再会長江』とは
今回はドキュメンタリー映画を取り上げます。それは中国・長江を舞台にした壮大なスケールのドキュメンタリー作品『劇場版 再会長江』です。上海から長江源流まで6300キロメートルに及ぶ旅を通して、中国の自然の美しさや人々の暮らし、そして長江が抱える様々な問題を映し出しています。と、言っても特に社会的な問題を扱ってるわけではなく、監督と10年前に出会った人を通して、その人の変貌と地域の変化を主に紹介しています。
とにかく、この作品の目玉は長江の美しさです。それはもう目の覚めるような美しさの部分もあり、スクリーンで見るとその美しさは特に格別です。まさに圧巻の映像美です。さらに10年前よりその透明度が増しているという地域もあり、驚きです。日本が見習うべきところかもしれません。
日本人は私も含めて中国にはあまりいいイメージを持っていませんが、この映画を見ると目から鱗で中国に対するイメージが変わります。それと地球の広さを改めて感じます。世界には本当に色々な地域があり、いろいろな境遇の人が住んでいることをこの目で見ることができます。
それがこのドキュメンタリーです。竹内監督は本当に素晴らしい映像を撮ってくれたと思います。
テーマは変化
この映画の大きなテーマの一つは変化だと思います。10年後の人と地域の大きな変化です。それは言って見れば目まぐるしい変化。目まぐるしい変化という言葉にはいい意味と悪い意味がありますが、ここでは少なくともいい意味です。
監督がこのようなことを言ってます。「中国は半年行かないと変わるので。だから、日本に帰ってくると、10年前とほとんど変わっていないことにビックリします。なんでいつもこんなに変わらないんだろう・・・って」それはいい意味と悪い意味があると思いますが、資本主義の日本が変わらなくて、そうではない中国が変わってるなんて、この言葉に私自身びっくりしました。
また、ネットの普及は今や日本以上で、都会でも田舎でもモバイル経済が当たり前になっており、紙幣自体を目にすることがなくなっているというのも一つの驚きでした。
そういう意味で中国の変化がこの映画には詰まってます。
夢の実現
この映画のもう一つのテーマの一つは夢の実現だと思います。監督自身が長年の夢であった長江の「最初の一滴」をカメラに収めるべく、長江の源流を目指していますし、この映画の登場人物の一人も10年後に夢を実現してる人もいます。
この映画の中である人が「夢を語る人はたくさんいるが夢を実現する人は少ない」と。まさにその通りです。
つまり、このドキュメンタリーはただ単に撮ってるのではなく、ちゃんとテーマがあります。そこらへんはまさにプロフェッショナルだという感じがします。
心温まるストーリー
映画『劇場版 再会長江』には、長江沿いで暮らす人々の人間ドラマが描かれています。困難に立ち向かう人々、助け合う人々、そして長江への深い愛情を持つ人々。様々なストーリーを通して、人間の温かさや強さを実感することができます。
特にシャングリラのツームーさんの話は本当に心が温まります。
この映画に出てくる主な長江流域
上海・・・中国の象徴ともいえる巨大国際都市。
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長江三峡(さんきょう)・・・3つの渓谷が連なる絶景。水墨画の景色としても有名。
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三峡ダム・・・中国の発展の歴史を象徴する世界最大の水力発電ダム。
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重慶・・・ここで監督は1本の棒を持って運ぶ棒棒(バンバン)と呼ばれる重慶特有の職業の男性に密着。映画の前半の見どころの一つ。
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イジンガ村・・・少数民族のイ族が暮らしていた村。監督はここで10年前に出会った楊さんを取材。
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世界遺産・三江併流・・・世界最大級の渓谷
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シャングリラ・・・架空の理想郷”シャングリラ”にふさわしい場所として、02年中国政府が地名を変更した。ここで10年前に出会ったツームーさんを取材します。ここが映画の最大の見どころで、まるで作られたかのような感動のドラマが展開します。
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チベット高原・・・ここでこのドキュメンタリー最大のトラブルが発生します。監督自身もまさかという出来事が起きます。
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長江の源流域・・・”最初の一滴”を目指した目的地。果たして最初の一滴を撮影できるのか?
と、まあ、映画はこんな流れなんですが、約2時間全然見飽きません。ドキュメントでよくここまで起承転結ができたなと思います。
『劇場版 再会長江』 感想とまとめ
いわゆる作り物の映画ばかり見てると、ドキュメンタリーの良さを忘れてしまっていたことを改めて痛感しました。
そこには本当の人間がいます。先進国に住んでると、そうでない国に住んでる人間が何をどう感じてるのかがわかりません。それがこの映画でよくわかります。
シャングリラに住むツームーという女性の10年前と10年後の変わりようは本当に驚きです。10年前と10年後では雲泥の差です。人間は頑張ればここまで成長できるという見本のような存在です。
また、人だけでなく長江の美しさも際立っています。監督は元々テレビ業界の人ですがこの作品に関してはできればスクリーンで見た方がその美しさがよくわかります。
長江の源流まで行くなんてすごいロケです。命がけのロケだったと思います。また、制作費は多分、億は超えているのではないでしょうか。
とにかく、この映画を見ることはひとつの体験だと思います。素晴らしい映画です。1000円強で地球の第3の極と言われる長江の源流まで行けるのだから安いもんです。オススメの映画です。
○4月17日 角川シネマ有楽町で鑑賞(現在上映中)