ネタバレありレビュー『猿の惑星/キングダム』誰も予想しなかった衝撃の結末を考察

7年ぶりの新作『猿の惑星/キングダム』

スターウォーズと並ぶ20世紀FOX(現在は20世紀スタジオ)の十八番シリーズ「猿の惑星」もついに9作目。リメイク版を入れると10作目となります。このシリーズは最後のどんでん返しが一つの見ものとなっていましたで今回もそれが楽しみで鑑賞しました。
結果として『猿の惑星/キングダム』のどんでん返し的なシーンはオリジナル版ほどの衝撃(惑星が実は地球だった)はありませんがそれなりの衝撃はあります。また、今回はいきなりではなくストーリー自体に徐々にそれっぽい伏線があったことも特徴です。

ちなみに現時点での全米映画ランキングでは堂々の1位です。(5月13日発表)

1位 猿の惑星/キングダム
2位 フォール・ガイ(8月16日公開) 出演 ライアン・ゴズリング エミリー・ブラント
3位 チャレンジャーズ  主演 ゼンデイヤ
              映画.comより

ここで『猿の惑星/キングダム』と関係が深いオリジナル版をおさらいしたいと思います。

オリジナル版「猿の惑星」(1968年)ストーリー
宇宙飛行士のテイラー一行は、(結果として)タイムワープによって人類滅亡後の地球にたどり着きます。その時の時代は3978年。そこで彼らが目にしたのは、高度な知能を持つ猿たち。テイラーは現地で喋れない人類のノヴァと出会い旅に出るが、最後に破壊された自由の女神を発見し愕然とするところで幕を閉じます。

オリジナル版はラストにいきなりですから衝撃度は半端ではありません。60年代の映画のベスト1のラストだと評する人もいます。まさに名脚本のお手本みたいなものです。ちなみにこの時の脚本(正確には原作があるので脚色)を書いたのは「トワイライト・ゾーン」のロッド・サーリングです。

オリジナル版のスタッフ、キャスト
監督 フランクリン・J・シャフナー、脚色 ロッド・サーリング、マイケル・ウィルソン、音楽 ジェリー・ゴールド・スミス(音楽も名曲です)
原作 ピエール・プール *原作者はSFに分類されることを嫌がったそうです。
出演 チャールトン・ヘストン、モーリス・エバンス、キム・ハンター、ロディ・マクドウォール

猿の惑星オリジナル版チラシ(1999年再上映)

このオリジナル版を踏襲した形で『猿の惑星/キングダム』は製作されたと思われます。監督も「猿の惑星」の前日譚だと話してます。

進化とリブート

シリーズ自体はオリジナル版の後、『続・猿の惑星』(1970)、『新・猿の惑星』(1971)、『猿の惑星・征服』(1972)、『最後の猿の惑星』(1973)と続編が制作され、猿たちの社会の起源や人類との戦いが描かれました。

2011年には、シリーズのリブート作『猿の惑星: 創世記 (ジェネシス)』が公開されました。この作品は、遺伝子操作によって知性を持つ猿が誕生し、彼らの反乱が始まるまでの物語を描いています。続編『猿の惑星: 新世紀 (ライジング)』(2014)と『猿の惑星: 聖戦記 (グレート・ウォー)』(2017)は、猿たちの指導者シーザーの物語を中心に、人類との壮絶な戦いと共存の道を探る姿を描き、再びシリーズに新たな命を吹き込みました。

「猿の惑星/キングダム」の位置付け

『猿の惑星/キングダム』は、リブートシリーズから独立した完全な新作として、シリーズの新たな章を開きました。新しいキャラクターや設定を導入し、これまでのシリーズとは異なる視点から物語を展開しているのが特徴です。

この新作では、主に猿同士の対立が物語の中心となり、猿社会での葛藤に新たな人間が絡んできます。『猿の惑星/キングダム』は、シリーズの遺産を尊重しつつ、新たな物語とメッセージを通じて現代の観客に強いインパクトを与えることを目指しています。

『猿の惑星/キングダム』ストーリー

物語は今から300年後の世界、プロキシマス・シーザー率いる猿たちは絶対的支配を目論み、巨大な帝国「キングダム」を築こうとしていました。一方、人類は退化し、まるで野生動物のような存在となっていた。
そんな世界で生きるイーグル族の若き猿ノアは、人間の女性ノヴァと出会う。 彼女は人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。 その後ノアはノヴァと行動を共にします。しかし、やがて言葉が話せるのがバレると、自ら「メイ」だと名乗ります。住んでいた村を焼かれたノアは彼女と共にプロキシマスの支配に立ち向かうことを決意。

その後、メイは徐々に本性を現してゆき、キングダムの”貯蔵庫”にノアと一緒に入り、目的のものを手に入れると”貯蔵庫”を爆破、ノアと共にプロキシマスに勝利する。

そして、任務を遂行したメイは文明を保持した人間たちが密かに暮らす謎の施設に辿り着き、貯蔵庫で手にしたハードドライブによって、衛星システムが起動し、人類は再び遠くの者たちと連絡できる手段を獲得します。

『猿の惑星/キングダム』のメイとは何者か?
メイ役のフレイヤ・アーラン

今回の映画が断然面白くなるのはこのメイという人間の女性が出てきてからです。なので今回はメイにひねりがきかしてあります。最初は言葉も発することができない原始人みたいな感じで登場しますが、だんだん変化してきます。ある目的があってノアに近づいてきたのです。
それは貯蔵庫に隠されたハードドライブを手に入れること。つまり、使命を帯びていたことが徐々に判明します。

さらにプロキシマス・シーザーが彼女の仲間(家族?)を殺したことを告白してますから猿グループに復讐したいことはほぼ間違いないでしょう。その目的達成のためにはプロキシマス・シーザーに仕えていた人間のトレヴェイサンをも殺してしまい、目的を達成します。言ってみれば文明を持った人間側のエージェントまたはスパイと言えます。

『猿の惑星/キングダム』のスタッフ、キャスト
監督 ウェス・ポール、(「メイズ・ランナー」3部作)脚本 ジョシュ・フリードマン(スピルバーグ版「宇宙戦争」)
出演 オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン、ウィリアム・H・メイシー

『猿の惑星/キングダム』衝撃の結末を考察

メイが猿軍団の貯蔵庫から手に入れたハードドライブによって今まで連絡が取れなかった仲間と連絡が取れ、人間たちは歓喜します。
つまり、それはある意味、仲間を増やして猿と戦うことを意味しているのはないでしょうか。ただ、今回、プロキシマス・シーザー率いる猿グループは壊滅したので、残党か別のグループと戦うのか。ノアの率いるイーグル族と戦うこともあり得るかもしれません。とにかく、文明を保持した人間たちが決起することは間違いないでしょう。
なぜなら、最後にノアはメイに「猿と人間は共存できるか?」と問うからです。基本的に猿グループに恨みを持つメイはそう簡単に猿と和合するとは思えません。

ビジュアルと特撮の魅力

今回の「猿の惑星/キングダム」は、その圧倒的なビジュアルと特撮技術が過去のシリーズとは一線を画してます。最新の技術を駆使して描かれる猿たちの世界は、現実と見紛うほどのリアリティを持ち、物語に深く没入させてくれます。

猿たちのリアルな描写

本作では、パフォーマンスキャプチャ技術を駆使して、猿たちの動きや表情が極めてリアルに描かれています。役者たちの繊細な演技がデジタル化され、細部に至るまでリアルな感情表現が可能となっています。特に、猿たちの目の動きや微妙な表情の変化が非常にリアルで、まるで本物の猿が話してるように見えます。

圧倒的な風景描写

映画の舞台となる広大な自然環境や廃墟と化した都市の描写は、まさに圧巻です。緻密に作り込まれたセットやCGIによるビジュアル効果により、観客はまるでその場にいるかのような臨場感を味わえるかもしれません。特に、ジャングルの奥深くや荒れ果てた都市の風景は、シリーズ特有の世界観を見事に再現していると言えます。

『猿の惑星/キングダム』の続編は?

現在全米で大ヒット中なので間違いなく続編は製作されるでしょう。さらに監督はすでに「メイズ・ランナー」で3部作を作ってますので
やりきれる才能はあるはずです。
また、監督自身も来日の時に、可能であれば、できるだけ多くの作品を製作したいと語っていることから3部作から5部作の可能性もありそうです。すると3部作目あたりにオリジナルのリメイク版が制作される可能性もあるでしょう。まあ、どちらにしても気の長い話ですので期待して待ちましょう。

『猿の惑星/キングダム』まとめと感想

今回鑑賞してみて導入の30分近くはリプート三部作の主役シーザーもいないので新しい登場人物(猿)で見なければならず、さらに人間も一人も出て来ないので見続けるのに個人的には結構忍耐が必要でした。
なぜなら、人間にとってはみんな似たような顔の猿なので区別がつかないため感情移入がしにくいからです。オランウータン、ゴリラが出てきてやっと区別がつく。脚本家もそれをわかって性格づけしているように思います。

ちなみにオリジナルの「猿の惑星」は人間のストーリー →人間と猿のストーリー → ラストは人間のストーリーで終わります。つまり、「猿の惑星」と言いながら全編に人間が絡んでます。しかも、当時大スターのチャールトン・ヘストンです。
今回は 猿のストーリー →人間と猿のストーリー → ラストは人間のストーリーで終わります。

ですから「猿惑」のシリーズは人間が絡んで初めて成り立つ話だというのを実感しました。しかも、日本人にとってハリウッドの大スターが一人も出演してないので、日本での大ヒットは難しいかもしれません。続編はぜひ大スターに猿になってほしいです(笑)

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